長野県立科町へ 旅する移住

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一人多役インタビュー

農業×環境保全

お話を聞いた人
尾崎 充さん

尾崎 充(おざき みつる)

1954年生まれ/神奈川県出身

30代まで横浜のとあるフリースクールに通う生徒たちの担任をしていた尾崎さん。31歳の冬、休暇のたびに訪れていた立科町からほど近い長門牧場で働くことを決心します。これまで時間に追われていたルーティン生活にピリオドをうち、長門牧場で “活きた観光”に取り組むことで活路を見出します。

地域資源、コンセプト一つで大きくかわる

これまでとは全く違う仕事で抵抗はありませんでしたか?

「長門牧場で取り組んだことは今でも自身の基盤になっています。未経験の私にいろいろ教えてくれたかたの言葉で“その土地ならではのものを使って提供する活きた観光をやろう”という理念のもと、その当時では珍しい地産地消の先駆けとしてアイスクリームを提供したところ、長門牧場を代表するヒット商品になりました。これを足掛かりに新たな乳製品開発を託されて、かねてより興味があったチーズ作りのため北海道まで足を運びます。

以来、自社生産のチーズが製品に加わったことで、東信エリアの観光スポットに成長します。その後長門牧場を辞め、自分の農園を持つようになりました。

この時培った経験や関わってくれた人たちが、現在の生食用のぶどうや野生に近いブルーベリーの生産に活きています。」

未経験の農業をやろうと思った背景にはどんなことがあったんでしょうか?

「私が農業に挑戦したのは、地方の多様な可能性を感じたことにあります。“その土地ならではのものを提供する”ということに力を入れ有機栽培にこだわり農産物を生産。こうしてできた農産物を直接お客様に届け、安心を求める声に応えようとしています。

いわずもがな販路の確保が重要で、納得のいく価格で販売するのは簡単ではありません。なぜなら農業で採算が取れるようにするのはある程度の規模がなければなかなか厳しいからです。

これから新規就農を目指すなら、いきなり農業一本にするのではなく、「半農半X」(週末だけ農業をするなど、副業をもつこと)をやりながら、これまでの経験を活かすような関わり方をそれぞれ模索してほしいと思います。

利益を第一に考えるなら農業でなくてもいい。それでもあえて農業を選んだのは、お客様の反応が直接伝わるおもしろさが気に入っているからです。これまで周囲で支えてくれた人たちがいるからこそSNSが本領を発揮していると実感(笑)」

未来の子どもたちに残せるもの

環境保全活動の一面を持つ尾崎さんですが、市民が先頭に立って環境問題に取り組む団体について教えて下さい。

「地方を目指すきっかけとなったもう一つの理由として、世界的規模で起こっている気候の温暖化があります。例えばドイツなどでは脱原発を進める中、数多くの国々がいまだ原発にどっぷり依存していることを受け、改めて環境について考えるきっかけになりました。

私を含め多数の方が参加する団体が、太陽光を活用してCO₂を減らす取り組みを認められ、グットライフアワード 環境大臣賞 地域コミュニティ部門に輝きました。

活動のきっかけは市民が力を合わせて自然エネルギーを増やす方法はないものかというところからスタート。長野県の中でも東信地方は晴天率が高いことに着目し、2019年6月までに、46カ所に約650kW分の太陽光発電パネルを設置し、約230人の出資者が集まり出資額の合計は1億2000万円超。

この「グットライフアワード」は<社会の課題=みんなの課題>とし、市民が集まって課題に向き合い、取り組んだことが評価されました。未来の子どもたちに、よりよい環境を残すことが、わたしたちのすべき行動。そのため、年に何回か環境イベントに参加して個人でも参加できる具体的な取り組みを発信しています。」

嗜(たしな)む

地方に来て余暇を楽しむことに不自由さを感じませんか?

「サラリーマンの頃、本当に余暇の時間がなく、できなかったことを今は楽しんでいます。

さして興味がなかった戯曲を読むという会に軽い気持ちで参加してみた時のこと。年代も性別も関係なく、一つの共通点で交わる人たちとの交流でわかったことは、これまで自分の時間をこんなふうに使ったことがなかったことに気づきました。

一日の時間を会社のため、働くことだけに費やしてしまい、他のことを考える隙間がほとんどありませんでした。

今では様々な仲間の中で話したり、お酒を酌み交わしたり、ずいぶん様変わりしたと思いますよ。

食事をとること同じくらい食事を作ることが好きで上田市のコラボ食堂というところでランチを提供しています。実は若いころ少しだけ料理の道を経験したこともあって(笑)。ここを運営するNPO食まちネットは安全・安心なおいしい食事を地域へ届け地産地消を推進するというコンセプトで運営していて、共感する部分が大いにあります。」

これからのひとたちへ

最後にこの記事を見た方へメッセージをお願いします。

「これまでいろいろな経験をしてきましたが、共通しているのは地域の持つ特性を“活かす”こと。ひいては自分自身を生かすことに繋がっています。

地方でもこれまで自分が経験したことが何かにつながっていると信じ、目的をもって地方を目指してほしい。そして今の豊かな時代が、この先も続くよう一人ひとりが考え選択していくことが、わたしたちにできることだと思います。」