長野県立科町へ 旅する移住

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一人多役インタビュー

ペンション経営×旅人

お話を聞いた人
猪股 正宇さん

猪股 正宇(いのまた まさたか)

1967年生まれ/埼玉県出身

猪股 あゆみ(いのまた あゆみ)

埼玉県出身

結婚してすぐにオーストラリアのパースに移住した猪股さんご夫婦。パースという都市は、オーストラリアの西部に位置しており、世界で住みやすい街にラインクインされた街として知られています。以来20年近く現地ガイドとして日本の旅行者を案内する仕事をしながら暮らしていました。二人とも別々の会社に勤めていましたが、ご両親が高齢になったことを機に帰国。2014年に女神湖近くに移住し、ペンション「ワイルドフラワー」を開業しました。

2度目の移住

帰国後、どんな経緯でペンションを始めることになったんですか?

「帰国を決めてすぐに住む家を探していたとき、ふとこのペンションの物件を見つけたんです。日本の住宅にしてはやや大きめな物件ですが、ここなら下宿したい人がいれば自宅を開放することもできるのかな…と大ざっぱに考えていました。加えて体が元気なうちは生涯現役でできる仕事になることも良かったんだと思います。

準備を進めていく中で最初は戸惑うことがたくさんありました。とはいえ私たちと同じく首都圏から移住してペンションを営んでいる方が多く、地域の中でぽつりと孤立するようなことはなかったと思います。同業ということもあり、いろいろ教えてもらいました。最初の頃は二の足を踏んでばかりでしたが、今ではすっかり打ち解け、情報共有するよき仲間です。」

ペンションの経営、どんなところが気に入っていますか?

「気に入っているというか、自分の経験値は次に繋げられるんだなと思ったことなんですけど、よくお客様から、“この広さだとお掃除大変ですね”と言われますが、そんなことないんです。私も海外に移住したばかりの頃は、一般の住宅が日本と比べてずいぶん大きいなと驚きました。建物が大きいとそれだけ掃除も大変…と思われがちなんですが、わが家には強力な秘密兵器(?)がいますので。
というのも、妻がガイドの仕事に区切りをつけ、数年間個人の住宅を清掃する“クリーナー”の仕事をしていました。日本ではあまり馴染みがありませんが、ホテルなどの客室清掃を専門に行う仕事と同じで、担当する住宅を定期的に訪問して掃除するスペシャリストです。海外から見て日本人はおおむねまじめな人に分類されているようで、キレイさの度合いやまじめな気質も評価され帰国する時に引き止められたりしました(笑)

もう一つ経験が無駄にならなかったと思うのは、大人数の食事を一度に用意することなんですが、海外にいた頃、親しい家族を招いての食事会が度々あって、わが家も招いたり招かれたりしていました。その際、10人~15人ほどの食事を用意するわけですが、基本的には持ち寄りで、招いた家がやや多めに用意したりして、みんなで分け合うのがおきまりなんです。大人数の食事を作る機会が減ってきている中、思えばあの頃のわが家のキッチンは、厨房のようでしたね。 “これがお客様をもてなすよろこびなんだ”と感じた原体験だったのかもしれません。

この他、気に入っていると言えば、オーストラリアに似たこの住環境です。湿度の低いカラッとした気候や、周囲には生活用品、食料品など、一度に買い揃うお店があって。違うところを挙げるとすれば水道水くらいでしょうか。ミネラルウォーターと同じレベルの飲み水が水道からでてくるなんて素晴らしいですよ。都心と比べてのんびりできていろいろちょうどいいと思います。」

わが家のライフスタイル

「オーストラリアでの仕事は春から夏が繁忙期でした。逆に雨季の間は比較的旅行者が減るので、後回しにしていた家のことや自分たちのことをするためのいわば休暇です。
日本に帰ってきてもうすぐ6年になろうとしていますが、今でも旅の途中のような気分です。というのも、長い間海外にいたせいか、日本の魅力に改めて小さな感動を覚えます。そこへきて信州は、スケールの大きい山々があり、きれいな水に恵まれ、おいしい食べ物が揃っています。
今では海外にいた空白の20年分を取り戻すかのように国内のあちらこちらへ出かけて行って旅の思い出を少しずつ増やしています。帰って来た時の安堵感も好きですが、旅先の新しい発見というのもたまらなく好きです。そしてしばらくしてまた旅に出る、これを繰り返してますね。」

恵みの宝庫

「立科町の総土地面積の内、およそ67%が林野面積に該当することを知っていますか?これだけの自然が身近にあるという環境で、あえて時代と逆行した時間を過ごすというのもたまにはいいですよね。いきなり自活とまではいきませんが、シカ肉のジビエ、けっこうイケますよ。ジビエと聞くと拒否反応する方もいるかもしれませんが、一度味わってみてほしいです。」

観光地 女神湖のこれからを考える

「ペンションを開業して、これまで様々なお客様との出会いがありました。滞在の間、この場所でどのように過ごすのか、お客様それぞれの楽しみ方があると思います。大きなきっかけになるとすれば、2020年の東京五輪にむけてインバウンド消費を一過性のものとせず、一年を通して集客できる観光地「女神湖」にするにはどうしたらいいか、私たちを含め町全体の課題にたくさんの人が取り組んでいけたら…そんなふうに思っています。」