インタビュー

立科町に来てあっという間に60人くらいの知り合いが

秦野さんご一家

移住した年
2018年8月
家族構成
妻、子ども3人の5人家族
どこから移住
大阪府
職業
IT関係、パート

立科町に移住した経緯を教えてください。

2018年6月に発生した大阪府北部地震で、自宅や会社設備が被災し、そのまま事業を継続していくことが難しくなりました。そんな時期に知り合いが立科の古民家を相続したいという話を聞いて、もともと信州に住みたいと考えていたので、その家を利用できないかと早速見に来ました。
ただ、その古民家は大事に使われていたものの、長期間放置されていたので、多少の手入れではとても住めそうになかったんです。でも、いざ立科町にきてみると、都会にはない豊かな自然があり、都会のぎすぎすした人間関係もなさそうだったので、何とか移住できないかとすぐ考え、次の行動に移りました。
子どもが3人おり、特に長女が大阪の大学に通学していたので、反対もありましたが、家族で話し合い、移住体験をするなかで、スピーディーに移住を決断しました。

具体的に移住先はどのように決めたのですか?

立科町の移住体験住宅に三泊ほど滞在して、移住しても大丈夫か調べました。特に小学生と中学生の子どもがいましたので、学校の環境や施設を調べ、先生にもお会いしお話をお聞きするなかで、安心して子育てができると感じました。勉強勉強っていうえげつない教育環境から離れ、人間性の向上を重視した教育の可能性が信州にはあります。
また周辺の女神湖や八ヶ岳を回って、すばらしいロケーションであることを家族で確信しました。
移住することになる住宅は、立科町の空き家バンクを利用して、町職員の方にあれこれ探してもらって、みつけていただきました。

立科町に住んでみていかがですか?

生活費がとにかく減りました。ガソリン代や冬の灯油代など燃料費が確かにかかりますが、それらを含めても大阪で暮らしていた時の三分の一から四分の一です。これから薪ストーブも取り入れて、冬の燃料代を減らしていきたいと考えています。いずれにしても以前のようにお金に追っかけまわされることがなくなり、精神衛生上とても楽になり、人間らしい生活ができるようになりました。
都会ではあっという間に時間がすぎていくのに、こちらでは時間のスピードがゆっくりです。

立科町に移住して、どんな魅力を感じますか?

とにかく贅沢な自然が間近にあることでしょうか。車で走っていると、時々鹿が1匹、2匹ではなくて何十匹と出てくるので、ここはサファリパークかと驚いたことがあります。
そしてとにかく水が美味しい。周辺の市町村と比較しても、立科町の水道水は抜群に美味しいです。水が美味しいせいか、野菜や果物、お米も美味しい。それから空気も美味しい。いろいろ全国をまわってきましたが、ここの空気が一番おいしいと感じます。星空もやばいくらい美しい。
自然の存在を近くに感じて暮らしているから、その分人間がおこがましくならないんじゃないかと考えています。

立科町に住んでどんなことに驚かれましたか?

確かに車がないと生活できませんが、運転マナーが以前住んでいた都会とは全く異なることにびっくりしました。こちらでは合流もすぐ入れてくれるし、横断歩道に歩行者がいれば、必ず止まります。車の運転だけではなく、信州人、立科に住んでいる人は、おしなべてモラルが高いと感じました。
子どもたちが野菜をもらって帰ってくることもあり、なんてオープンなコミュニティなんだろうと、これまたびっくりしました。
それから夜も7時か8時になると、スーパーマーケットをはじめお店が閉まってしまいます。移住してきてしばらくはどうやって暮らしていくのだろうと心配でしたが、今は夜眠り、昼間起きて働いたり、勉強したり、遊ぶといった当たり前の生活リズムが戻ってきました。

お子さんたちの遊び場はありますか?

都会の遊び場っていうのは、ゲームセンターや遊戯場が整備され、決められたものが提供されている感じで、それ以外の遊び方はできないわけです。こちらは木と野原と池があるわけでしょう。そうしたら自分らで考えて遊ぶわけですよ。女神湖あたりに連れていったら、ツタを使ってブランコ作ったり、そんなことふんだんにしていました。
自然のフィールドに遊びのための材料が身近にころがっていて、それを使ってクリエイティブに遊ぶことができる。そんな環境の方が、子育ての環境には絶対いいと思います。

都会から来られた方は、田舎の人間関係に馴染めないと良く言われますが?

全くそんなことはありませんでした。もともと人脈づくりは厭わない性格だったので、立科町に来てあっという間に60人くらいの知り合いができました。
もちろん、地元のイベントや学校行事などには積極的に参加しています。また自治会でも役割を与えられており、大阪時代から続けているボーイスカウトの役員もやらせてもらっています。こちらのボーイスカウトは130人くらいの大所帯で、都会ではとても考えられません。

移住をお考えの方にアドバイスをいただけますか?

立科町に元から住んでいる人はシャイなので、移住者側から積極的に人間関係をつくっていくことが大事だと思います。こちらから話しかければ、地元の人はどんどん友達になって、真剣に相談にのってくれるので、そのあたりが重要です。
それから、ずっと都市部に住んできて培った余計な価値観を持ち込むのはご法度です。
立科町は子育ての環境に適しているので、単身の移住や年配のご夫婦だけの移住よりも家族づれや、これから家族をつくりたい人たちにとって、もってこいの環境だと感じます。