長野県立科町へ 旅する移住

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神々しいりんごの木との出会い

岩波亨さん・寿巳さんご夫妻

移住年
2019年11月
家族構成
ご夫婦二人暮らし
年代
50代
出身
東京都
職業
亨さん:長野県農業大学校研修部生
寿巳さん:パート勤務

りんごの無袋栽培“サンふじ”の発祥の地として知られる立科町五輪久保。ここは北に浅間山、南に蓼科山を望む山懐標高700mの丘陵地帯にあります。
1.日照時間が長い
2.年間降水量が少ない
3.朝夕の寒暖差が大きい
という冷涼・乾燥の気候で、りんご栽培には最高の条件下で美味しいりんごが育ちます。
このりんご畑を一目見て“すごい!”と思った岩波さん。それからは大きな流れに身を委ねるように移住を決め、就農準備に入ります。

移住までの経緯を教えてください。

2019年8月下旬頃、たまたま北八ヶ岳に旅行で遊びに来ました。お蕎麦を食べたくて小諸経由で帰ったのですが、その途中に通りかかった五輪久保のりんご畑を見たときに“すごいな”と思いました。私の祖父が青森でりんご農家をしていて、子どもの頃はよく手伝っていたこともあり、ここはすごいと一目見て思いました。りんごの木が神々しかったんです。そのときに「世界一のりんごを作りたい!!」と感じてしまいました(笑)

もともと地方に住みたいと強く思っていたわけでもなく、そのときもそれきりだったのですが、二週間後に東京で開催された農業フェアに立科町が出展していました。市町村単位で出店していたのが立科町だけだったのも印象的で、ご縁を感じてその場で「りんご農家やります。どうしたら良いですか?」と担当の方に聞きました。

さらにその二週間後、立科町で農業体験ができる滞在型市民農園「クラインガルテン」にたまたま空きができたので、すぐに入居しました。東京にいながら住居を探すのは無理だと思っていましたし、既にりんご農家をやると決めていたので何も迷いはなかったですね。

(寿巳さん)
私はりんご畑のことは分かりませんでしたが、この流れに乗って動いた方が良いなというのはすごく思いましたね。不安や抵抗はありませんでした。

クラインガルテンには2019年11月から2ヶ月ほど滞在しました。タイミング良く町営住宅が空いたので比較的すぐに引越してしまいましたが、月に一度クラインガルテンに滞在している皆さんとの交流を深めるイベントがあり、私たちもひすいそばのそば打ち体験に行きましたよ。

りんご農家になるためには就農希望者を対象とした研修を受ける必要があったので、2020年4月からは長野県農業大学校研修部で里親前基礎研修を受けました。また、この研修を受けるには農業研修施設や農家等で農業体験をしていることが条件だったため、五輪久保の柳澤真司さんのりんご畑でお手伝いをさせていただき、その後の先進農家現地実習でもお世話になりました。

移住前はどのようなお仕事をされていらっしゃったのですか?

以前は会社経営をしていました。ビルの管理会社、中古放送用機器商社、ECサイトの立ち上げ、特許の出願、ロシアとのビジネスなど、多数の事業を経験しました。

特に中古放送用機器の社員は逸材揃いでした。放送用機材に特化してリース商品を買い取り、販売するという仕事だったのですが、売上1000万もないような事業を7名で3億にまで成長させました。アルバイトをクビになったり、就職できなかったり、持病を患っていたり、Webデザイナーを志していたり、メンバーそれぞれに事情がありましたが放送用機材についてはとても詳しく、この業界では日本一です。持病を患っていた彼は、今では事業を取り仕切っています。

このメンバーと事業を成功に導く中で活躍したのがコーチングです。自分自身の自己評価や自己効力感を高め、周りの人の自己評価・自己効力感も高め続けることで、従業員たちが自分で考え自主的に行動するようになりました。信頼して任せれば人は活きるのです。

移住されてみて、変化などはありましたか?

農業体験で五輪久保の柳澤さんのお手伝いをしていた際に、焼肉をご馳走になったときのこと。いつもニコニコしている90歳のおじいちゃんが目をキラキラさせて「やりたいことをやらせてもらって、今もこうして働かせてもらって、俺こんなに幸せでいいのかな」と話してくださいました。もう70年もりんごを作っているので身体もしっかりしているし、本当にキラキラしていて。「老いるってこういうことか」と思いました。老いることは怖いことではなくて、このような素晴らしい世界に向かって進めばいいんだなと安心したというか。おじいちゃんに会えたのは本当に素晴らしかったですね。
 
普通は移住したい理由があって移住すると思うのですが、私たちは先に来てしまっていました。でもこのときに「このおじいちゃんに会うために移住したんだ」と、ここに来た意味を感じました。同時に“原因は未来にある”ということを確信しましたね。

勉強でも何でもそうですが、良い点数が取れたかどうかで過去にした勉強が“良かった”、“悪かった”となりますよね。良い点数なら「よくがんばった」、悪い点数なら「努力が足りなかった」などと原因を過去に持っていきます。でも勉強そのものは何も変わっていません。過去の出来事自体は変わりませんが、未来が過去の出来事の意味を変えます。つまり、原因は未来にあるんですね。おじいちゃんのキラキラしたお話を伺った際にこのようなことを体感しました。

最後に、今後の夢や読者へのメッセージをお願いします。

今後はりんごの他に教育の分野にも携わりたいと思っています。前述のように現場で培ったコーチングを子どもから大人までを対象にしてやりたいです。学校で教わるようなことではなく、「生きるって何?幸せって何?」という根本的なことから伝えていきたい。既にHP(https://www.toruiwanami.com/)もあるので是非ご覧になってください。

(寿巳さん)
私は「りんごテラピー」をやりたいです。もともと目に持病があり20年前に白内障の手術をしたのですが、その後、半年以上ステロイドを飲む生活をしてひどく体調を壊してしまいました。その際にアロマテラピーの先生と出会い、勉強を始めました。東京ではアロマのプライベートサロンも開いていましたが、立科ではエッセンシャルオイルをたくさん使うのではなく、より立科に合ったアロマヒーリングをしてみたいし、アロマにとどまらない自然療法を研究してみたいです。まずはりんごの果皮や花を蒸留してエッセンシャルオイルを作れたら良いなと思っています。

移住については、まずは来てみて、それから考えればいいと思います。移住するためにああしたい、こうしたいと色々考えることも大事だと思います。でも、人生の大きな流れに身を委ねてみるのも面白いことではないでしょうか。分からないことを不安に思わず、「どうなるだろう」と楽しむことができれば、いろいろなことが見えてくると思いますよ。